日本アーカイブズ学会のアーキビスト
資格認定制度
資格認定制度
7月16日(土)に学習院大学で日本アーカイブズ学会の研究集会「アーキビスト資格制度の実現に向けて:学会提案を議論する」が開かれました。同学会からの提案「日本アーカイブズ学会登録アーキビスト(仮称)」の資格認定制度についての意見を集めることが目的でした。
制度はアーキビストに関する公的な資格がない状況で「日本のアーキビスト制度を本格的な専門職制度として確立させていくための第一ステップ」として位置づけられており、海外のアーキビスト制度や国内諸学会の認定制度を参考にして検討が進んでいます。現在は来年の最終提案に向けて会員、関係団体、関係者からの意見聴取が行なわれている段階です。
提案内容についてはネットで公開されておりますが、最初の資格認定と5年ごとの更新の2つの柱からなりたっているといえます。認定と更新にはさまざまな条件があり、この制度を通して「世界標準」のアーキビストを育てることが目指されています。
集会では、韓国の事例報告に続き、若手研究者、地方自治体文書館、関連団体それぞれの立場からの意見表明がなされた後、出席者も交えた議論が行なわれました。
議論は多岐にわたりましたが、そのなかで明らかになったのは、この制度を社会に定着させる方策についての検討が必要なのではないかということです。たとえば資格認定や更新のためには本来の業務とは別にアーカイブズ学に関わる研究活動を続ける必要がありますが、現状でそれが可能な環境は大学などの研究機関に限られています。こうした状況を変えていくには、資格のメリットがアーキビスト(志望者)のみならず、アーキビストを採用する側、さらにはアーカイブを利用する社会に広く共有される必要があります。アーカイブズ学会にとどまらずさまざまな関係者での議論、協力の深化が望まれます。
「日本アーカイブズ学会登録アーキビスト」の資格認定制度創設について