知られざる専門図書館―情報の宝庫
インターネットでなんでも自宅に居ながらにして調べられる時代が到来―と言われますが、本格的な調べごとは、やはり図書館で―というのがオーソドックスな手法です。
町の図書館より、都道府県立図書館、こみ入った内容なら国立国会図書館へ行けばより詳しく調べられる、と考えがちですが一概にそうとも言えません。確かに蔵書数は規模が大きい図書館ほど多いのですが、貸し出しやコピーサービスの手軽さ、新刊の配本の速さ、なにより書架の前であれこれ手にとって選べるという 点で町の図書館は侮れない存在なのです。最近はサービスが良くなって、夜遅くまで開館していたり、県立や国会図書館の本を借りられたりする所が増えています。
調べるテーマによっては、「専門図書館」を訪ねると良いでしょう。思わぬ収穫があります。東京に偏在していますが、様々な分野の専門図書館が存在し、国会図書館にもないような貴重な蔵書があります。事前申込が必要な専門家向けの図書館もありますが、多くは誰でも無料か安い料金で利用でき、調べごとなどには、専門の司書が相談にのってくれます。コピー、貸出しサービスをしているところもあります。
なかでも、お薦めは霞ヶ関の各「省」の庁舎内にある国会図書館の分館で、その省の担当分野に関わる入門書から専門書、各種報告書まで膨大な資料の蓄積があります。民間では、雑誌を専門に70万冊の蔵書を誇る「大宅壮一文庫」、カタログなどの資料も充実している「自動車図書館」、企業が運営している「旅の図書館」「食の図書館」など、様々なタイプの専門図書館が独自の視点で資料の収集、公開を継続的に行っています。どこも情報の宝庫といえるでしょう。
歴史系博物館学芸員として資料の収集・管理や展示・教育業務に携わり、現職に就く。
現在は、企業および学園アーカイブのコンサルティング、プランニング、マネジメントに従事。