ファイルの種類
文房具を見たり集めたりするのが好きという人や、文房具に凝っているという人は少なくありません。私もその一人ですが、単にユニークなデザインや機能を追いかけるのではなく、変化する社会や業務に、さまざまな文房具をどのように適応させていくかが、問われています。
ファイルひとつとっても、仕様や用途をよく吟味して求めているかというと、必ずしもそうではないようです。とりあえず手近なファイルを手にとり、一回使い始めると余り考えずに使い続けるという傾向が強いようです。また、保管にあたっても、使っていたファイルのまま使っているという事例をよく見かけます。
プラスチック製の硬い表紙に、バネ式などワンタッチで資料の差し替えができるタイプのファイルは、頻繁に資料の出し入れをする日常的に使う資料群のためのファイルです。このままで保管していたのでは、無駄なコストがかかります。説明責任やPL法、内部統制など、記録管理がより一層重視される社会のなかで、保存すべき資料は増える一方です。より低コストで合理的な保管方法を考えなくてはなりません。保管用には、表紙も綴じ具も簡素で、大量の資料を一度にファイリングできるタイプのファイルが市販されていますので、それを使うのが合理的です。私も、保管用には安価で大容量のファイルを愛用しています。最近、コクヨから綴じ具も紙製のファイルが発売されました。これだと環境負荷も小さくて済みます。
資料群、いわゆるファイルごとの「束」は、時期を決めて、他のファイルに入れ替える、という習慣をつけると良いでしょう。二穴パンチは穴の間隔が80ミリ、端からの奥行きが12ミリとJISでもISOでも定められていますので、どんなファイルも互換性があります。入れ替えの機会に、内容の見直し、保管期限の判断もできるので一石二鳥です。日ごろの地道な作業と、ちょっとした工夫によって、漏れのない、また無駄のないアーカイブが構築されるのです。
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 中川 洋
歴史系博物館学芸員として資料の収集・管理や展示・教育業務に携わり、現職に就く。
現在は、企業および学園アーカイブのコンサルティング、プランニング、マネジメントに従事。