写真の整理をいつやる?今でしょ
弊社が企業や大学で資料整理をさせていただく際、ご担当者も弊社アーキビストも共に頭を悩ませるのが、写真の整理です。
企業では、創業者・歴代役員、本社・支社・工場などの建設時・竣工時の写真、研修やイベント、商品写真など、被写体は数多く存在します。
整理前のこれらの保管状態は、主に紙焼き写真ですと、手貼りタイプや挟み込みのアルバム、小型のアルバムだったり、ダンボールに1枚ものがごっちゃまぜに入っていたりと、アルバム形態も一様でなく、かつ、担当者によって写真に記号や番号が付されていても、今となっては何を表すものかがわからない…。
未整理の写真の山を前に、何を残してどのように整理すればよいのでしょうか。今回は、組織のアーカイブズとして写真を整理する際の手順の一例をご紹介いたします。
(1)概要調査
これは写真に限らず資料調査において共通しますが、調査票を作成しておき、そこに、整理前の写真(写真群)の状態(保管状況・媒体・物量・年代など)を記録します。
(2)「写真」から「写真資料」へ移行作業-目録の作成
1.基礎的なデータ(資料番号をつける、写真の出所、タイトル、年代、撮影者など)
2.物理的、化学的コンディションのデータ(現状、状態、劣化状況)
3.管理データ(保存・修復処置に関する履歴、所有・権利関係、公開・非公開の別、利用条件など)
(3)廃棄・保存の選別(これは(1)の段階で行う場合もあり、段階ごとに行います)
(4)デジタル化(活用、バックアップのため)
(5)保存環境や包材の整備
個々の項目について述べようとすると紙面が足りませんので、またの機会に実用レベルのお話をさせていただく予定です。
「東日本大震災写真保存プロジェクト※1」や、「東日本大震災の記録※2」などの活動を見ると、組織のために残しておくためには、「今」動くことが必要だと考えさせられます。
※1:東日本大震災写真保存プロジェクト
※2:学校法人東北学院デジタルアーカイブ 東日本大震災の記録
<参考文献>
『劣化する戦後写真―写真の資料化と保存・活用―』(全国歴史資料保存利用機関連絡協議会編、岩田書院、2009年12月)
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 小根山 美鈴
都内の大学史編さん室、独立行政法人の研究所でアーカイブズの業務に従事の後、現職に至る。日本アーカイブズ学会会員。