バチカンから愛をこめて―近世豊後のキリシタン文書の発見
今日はバレンタインデー。
いくつになっても、心ときめく一日です。アーカイブズ界においても、日本の歴史に新たに刻まれるような、 期待に胸躍るようなニュースがありました。
1月末に、バチカン図書館で、マリオ・マレガ神父によって大分地区在任中に収集された近世キリシタン関係史料1万点が発見された ニュースです(※1)。
これらの文書を基に、マレガ神父は「豊後切支丹史料」を刊行しており、研究者の間では近世豊後のキリシタン研究には欠かせない史料とされていました。 しかし、この史料集に収められている文書の原本の所在がこれまで不明でした。
このたびバチカン図書館に所蔵されていたことと、 「史料」に未収録の文書も存在していたことが新たにわかり、早速研究プロジェクト(「マレガ・プロジェクト」)が立ち上がりました。 今後の文書の整理やデータベース化が進められ、公開して研究利用できるようにされるそうです。将来的には研究者によって当時の宗教統制の実態が解明されることが期待されます。
マレガ・プロジェクト代表の国文学研究資料館研究主幹の大友一雄教授は、アーカイブズ学を専門とされています。
同資料館では、日本古典籍をはじめ、収蔵している歴史資料の概要データベースや資料目録データベースなどを豊富に集積し公開しています(※2)。
歴史が解明されることももちろんですが、アーカイブズ学という視点で進められるこのプロジェクトが、どのような目録編成で構成されるデータベースとなるのか、楽しみに見守りたいと思います。
※1 「バチカンで近世豊後のキリシタン文書発見」大分合同新聞社oita-press
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2014_139061010816.html
※2 国文学研究資料館 電子資料館 Database
https://www.nijl.ac.jp/pages/database/
(上記の全ウェブサイトの最終アクセス日:2014年2月14日)
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 小根山 美鈴
都内の大学史編さん室、独立行政法人の研究所でアーカイブズの業務に従事の後、現職に至る。日本アーカイブズ学会会員。