MLAの学び―アーカイブ作業への応用―
史資料のアーカイブ化に際して、博物館や図書館で培われた方法から学ぶことは多いと感じます。博物館(Museums)、図書館(Libraries)、アーカイブズ(Archives)には、それぞれに独自の分類法とメタデータ構築方法がありますが、アーカイブ化の過程で役に立つこととは、一体何でしょうか。
歴史の記録としての文書類を取り扱うアーカイブズでは、4原則(出所原則・原秩序尊重原則・原形保存原則・記録の原則)に従って、資料が分類・整理されます。文書や記録には、それぞれ成り立ちがあり、その経緯が辿れるように保存し、未来に残していかなければなりません。つまり、異なるコンテクスト(脈絡)をもつ組織は、異なる分類体系のアーカイブズが構築されることになります。例えば、国や公的機関、企業、学園、文化施設で発生する文書・記録は、目的や性格がそれぞれ異なります。それぞれ独自のコンテクストで成り立っていますので、それらすべてに共通した分類法やメタデータの整備は困難です。
それでは、アーカイブ化の作業と利用レベルではどうでしょうか。資料の目録化・メタデータ化に際しては、Dublin CoreやISAD(G)などの目録記述の世界標準があります。一方で、博物館のコレクション・ドキュメンテーションは比較的体系化されており、参考になります。博物館コレクションにはモノ資料が多く、それらを言語化する過程で、シソーラス(同義語・類義語の語彙集)の開発・構築や一括資料の取り扱いと記録方法が発達しました。これらは、アーカイブの資料整理にも応用できます。
また、アーカイブ資料を書棚に配架する際には、やはり図書館の分類ラベルの機能は参考になります。アーカイブ資料は、図書館資料に歴史的性格が付与されるため、図書館の十進分類法をそのまま適用することはできませんが、少し工夫すれば、目録・台帳に当たらなくても資料の出し入れができるようになり、大変便利です。図書資料のように、バーコードを上手く活用してデータベースとつなげることができれば、貸出管理も楽になることから、利便性はさらに高まります。
このように、資料を記録・保存し、未来に伝えるという点において、博物館や図書館から学ぶことは多いと思います。同時に、各々が独自の歴史に基づく分類体系を保持することと、他機関や諸外国に学び、その方法をカスタマイズして取り入れていくことは、どちらも現状を改善し、発展させることになるのです。
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 宮本飛鳥
英国の大学院で博物館学を学び、修士号を取得。英国でコレクション・ドキュメンテーションやコレクション・マネジメントの調査・ボランティアを経て、現職に至る。