統計資料の活用
-『日本帝国統計年鑑』を事例として-
-『日本帝国統計年鑑』を事例として-
アーカイブ業務の一環として整理作業に伺った先で、会社や学校の歴史を跡付ける資料がみつかります。その一つが統計資料です。会社の場合には、経営実績の推移を把握できる営業報告書が作成され、それらは年史を作成する過程で活用できます。しかし、会社や学校の活動を客観的に分析するには、外部の公的機関が作成した資料が必要になります。
明治以降、国や地方自治体などが統計書を編纂していますが、最も長期的かつ体系的なものとして1882(明治15)年創刊の『統計年鑑』があります。1886年に『日本帝国統計年鑑』と改称され、1941(昭和16)年まで刊行されました。戦時中の中断をはさんで、1949年には『日本統計年鑑』として再開、現在も刊行されています(※1)。
これらは、比較的規模が大きな図書館において閲覧することができます。国立国会図書館は、原本のほかに復刻版を所蔵しています。同館は図書・雑誌のデジタル化をすすめており、上記の資料については館内端末および提携先の図書館端末で複写ができます。
そのほか、統計資料を専門に収集、公開している「統計図書館」(東京都新宿区)があります。同館の特徴は、戦前・戦後の県統計、省庁作成の統計書を網羅的に所蔵している点です。また、総務省統計局は、2011年以降の『日本統計年鑑』(※2)、明治以降の「日本の長期統計系列」(※3)をインターネット上で提供しています。とりわけ後者については、全31章におよぶ広範な項目を設定していること、明治~平成の長期間をカバーしていることが特徴といえます。さらに、原資料名と資料解題が付されているため、統計の内容も容易に把握できます。たとえば、都道府県別の男女別人口を調べる場合、「第2章 人口・世帯」→「人口静態 2-5」を閲覧し、疑問があれば典拠を確認できるように工夫されています。上記のデータベースは無料で利用できるため、社史や学校史の作成に活用してはいかがでしょうか。
(※1)「日本帝国統計年鑑」『国史大辞典』第12巻、216頁。
(※2)http://www.stat.go.jp/data/nenkan/index1.htm(2017年1月31日閲覧)
(※3)http://www.stat.go.jp/data/chouki/index.htm(2017年1月31日閲覧)
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 白田 拓郎
自治体や図書館において公文書・古文書の整理に従事し、現職に至る。現在はアーカイブ部門において資料整理を担当。